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飲食店や学校等におけるお米のカビ対策

編集者より:飲食店や学校などの厨房で、お米の管理がお粗末になっていることはありませんか? 今回は、五ッ星お米マイスターに業務向けのカビ対策について伺いました。実は、お米の袋には色々な種類の穴があります。その穴から侵入した水は、カビの原因になりやすいので注意する必要があります。

お餅にカビが生えた経験はありますか?

これって、昔は当たり前のことでした。本来、常温で保管すると、1週間も保管したらカビが生えるものでしたが、近年は商品の包装技術や、防腐剤、防カビ剤などによってカビが生えにくくなっています。このことから、最近は食品に対するカビや腐っているという観念が薄くなっているように思います。

以前、大学生が冷凍庫で数カ月保管していた鶏肉を食べて死亡したという報道を見かけました。これはやはり、長期保存していた鶏肉が痛みかけていたことと、蒸し焼きなどにせず、中まで火が通っていなかったことが原因だと思われます。

人から教わったり、自分で軽度なミスをして学習したりして、未然に大きな事故から回避できることが多い一方で、このような事故は本当に残念でかわいそうです。

お米の袋の穴に注意しよう

飲食店の厨房においても、知らずにトラブルを起こしやすいことがあります。実は、お米の袋には穴があります。その穴から侵入した水は、カビの原因になりやすいので注意する必要があります。

お米の袋には色々な穴の開け方がありますが、中でも以下の4種が主流です。

  1. センターシール
  2. フレブレス
  3. マクロドット
  4. ハイジーン

お米の袋に穴がある理由

主な目的は二つあります。一つは運送に関する問題です。お米は運送時に積み重ねられるため、お米に穴がない状態で空気が多く入っていると荷崩れします。このため、袋には穴を開けておく必要があるのです。

もう一つは、品質の問題です。お米は密閉されていると、高温時蒸れが起こり、品質低下が生じます。このことも、穴を開ける理由として知られています。

さて、次のページでは、袋の通気口4種の各構造と、水の侵入を防ぐための対策を説明します。

袋の通気口4種の構造と水対策

センターシール

  お米の袋の裏側の中央に不織布でできた布が縦に貼り付けられており、ここから空気の出入りがあります。

米袋をセンターシール部が下になるように置き、下から水がかかると水が不織布部から米袋内に侵入します。

フレブレス

米袋内からは空気が排出しやすいですが、米袋の外から米袋内に空気が流入しにくい構造になっています。

長時間水没させない限り、ほとんど水を侵入させません。    

マイクロドット

  米袋に多数のパンチ穴を空けたものです。最近は非常に小さなマクロドットが主流です。コストが安いため業務用の袋に多く採用されています。

穴が小さいので見えにくく、この部分が水にかかってしまうと、水が浸入します。

ハイジーン

  お米の袋をシール(閉じる)ときに空気が排出できるような形状でシールを行います。この方法もコストがかからないため、業務用の袋に採用されていることが多いです。

  シール部が水につかったり、大量に水がかかったりすると、水の侵入が起こります。

さて、次のページでは、カビの生え方を実際の例を交えてご紹介します。

実際にカビが生えてしまった例

ハイジーンの袋で発生したカビ

これは「ハイジーン」タイプの袋シール部よりの水の侵入です。米粒が岩のように固まっています。

マイクロドット穴の袋で発生したカビ

これは、マイクロドット穴からの水の侵入です。相当水に浸かっていたのだと思われます。

センターシールの袋で発生したカビ

  写真のように、まばらにカビがはえている場合は、センターシールのように水とお米の接触部が一部になる場合か、濡れた計量カップですくいそのまま使わず少し置いておいた場合に起こりやすいです。

また、常に上記のような視覚的に明確なカビが生えるとは限りません。冷蔵庫など低温の保存環境から外に取り出したとき、お米の袋の中に結露した水分がお米に付着することがあります。これが原因となり、お米全体にうっすらと灰色のカビが生えることがあります。

カビは5~35度で発生し、25度前後が最も活発です。くれぐれもお米やお米の袋に水がかからないように保管しましょう。

家庭用の保管方法について

家庭用のお米の保管方法は以下の記事で解説しています。

お米の味が落ちる3つの原因と、お米の保管方法について

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夏場の炊飯時3つの注意点

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