詳説!誰でもわかる正しいお米の選び方【前編】

お米のおいしさの指標

最近、コーヒーメーカーで淹れたアイスコーヒーにはまっています。今までコーヒーはあまり飲みませんでした。しかし豆の違いを意識しだしてから、自分好みの豆を探してみたいと思い、色々な豆を試しています。コーヒー豆の袋の裏には、よく商品説明とテイストの目安があります。

私の好みは酸味がほとんどないコーヒーです。この製品は苦味に寄っています。酸味と苦味が一つの指標で表されているのは変な印象を受けますが、このようなコーヒーの味の指標表示には決まりが無く、曖昧に付けられているそうです。

とはいえ、こういった表記があると、自分好みのコーヒーを見つけやすいですね。今回は、コーヒーではなくお米のおいしさの指標について説明します。

お米の品種

以前、私はスーパーやデパートなど一般家庭向けのお米の販売を中心に行っていました。その当時、お店のバイヤーさんに「指標をプライスカードにつけてほしい」というご依頼を受けました。

お米もコーヒーと同じく、人それぞれの好みを指標をつけて表現することは難しく、曖昧な部分があります。また、地方によって好みの違いや傾向もあります。そのため、一概にこれが正しいという指標はありません。しかし、重要な点だけに絞って指標を作ることはできます。

コシヒカリとササニシキ

昔は「コシヒカリ」と「ササニシキ」がおいしいお米の代表でした。その二つには、それぞれ異なる特徴があります。コシヒカリは旨みや粘りが強く力強いです。ササニシキは比較的さっぱりとしています。

現代の新品種

今はお米の新品種が次々と開発され、それぞれ異なった特徴があります。昔のお米の品種改良はその土地の気候や条件に合わせたものでしたが、現代の新品種は、色々なお米の目安となる部分の何らかの特徴を強めて開発されることが多くなっています。

たとえば、「つや姫」は弾力のある食感と白さを特徴として開発されました。また、「ゆめぴりか」は粘りが特徴です。

お米の粘りと旨味

食べ物の好みを判断する基準は2つに大別できます。食感を重視するものと、味を重視するものです。この項では、それぞれ粘りと旨味という観点から判断します。

お米の粘りについて

お米の食味を計測する食味計は、日本晴というお米を基準に、様々な数値を測定します。お米の粘りはデンプンのアミロース値で決まります。コシヒカリは基準のお米よりアミロース値が少し高いことから肉料理などの洋食に適しています。対して、ササニシキはさっぱりとしていて魚料理などの和食に合っています。こういった理由から、食生活の欧米化にともない、現在ではコシヒカリが広く普及しています。

お米の旨味について

お米の食感は機械で計測できる事が大半なので、比較的はっきりと示すことができますが、味に関しては何を良しとするか、曖昧なところがあります。一般にお米の場合、旨みと甘みを総合的に感じて「味がある」あるいは「味がうすい」と言われているので、ここではそれらをまとめて旨みとします。

お米の旨味は品種によって強弱があります。コシヒカリは強くてササニシキは弱いです。他には西日本で人気のヒノヒカリも旨味が強いことで知られています。

旨みは品種だけでなく栽培方法――特に肥料設計などによっても大きく異なります。旨みの強いお米は、昔ながらの有機肥料を長年使っている田んぼのお米の場合が多々あります。これ以外の要因として、同じお米でも精米技術により旨みの強弱が起こります。

お米の弾力と粒ぞろい

お米の美味しさは味はもちろん、食感も重要です。さらに食感の中でも、弾力と粒ぞろいが有るのと無いのとでは、お米の美味しさに大きな違いが生じます。

粘りと弾力の違い

お肌のハリのことを「もちもち肌」とよく言います。これは、指で押したときの押し返してくる弾力のことですね。この「もちもち」ですがお米の場合、2つの別の意味で使うことがあります。1つは「弾力がある」、2つ目は「粘りがある」です。

しかし、お米において、粘りと弾力は相反することがあります。粘りのあるお米は弾力が少ない品種の場合が多いことで知られます。コシヒカリは弾力と粘りをバランスよく兼ね備えています。

昔の指標「硬質米」と「軟質米」

昔は「硬質米」「軟質米」という言い方がありました。この表現では、米の品種特性なのか、炊き方なのか、米の乾燥度合なのかいまいちハッキリしません。

寒冷な東北などでは、収穫後の乾燥の際ある程度水分値を高くしても保管ができます。一方、温暖な地域では、カビが生えたり品質低下をするため、乾燥を強くして水分値を低くしていました。今のような低温倉庫が普及していない昔は、このような感じで乾燥度合が違うことがありました。そのため、寒冷地は軟質米、温暖地は硬質米のような捉え方がありました。しかし、現在では低温倉庫で夏場は保管されるため、調整する水分値は全国で同じです。

もちろん、品種によって硬さは異なります。硬い部類にはあきたこまちや日本晴などがあります。また、軟らかい部類にはミルキークイーンやゆめぴりかひとめぼれなどが分類されます。とはいえ、水加減次第で硬くも軟らかくもなるので、上記はその品種の良さが最もよく現れる硬さという認識です。

硬さよりも重要な弾力性

硬めのごはんが好きという声をよく聞きますが、お話を窺ううち、それは硬いだけでなくつるっとした弾力のあるごはんのことだとわかります。ごはんの硬さ、柔らかさは水加減や炊き方で調整できるものですが、弾力性はそのお米が持つ素質です。

弾力性の生み出し方

お米の弾力は栽培技術と農家さんの技術から生まれます。同じ品種でも、栽培する環境(土質、気候、水など)、生産者さんの栽培方法や技術が整ってはじめて、おこめの実が詰まり、そこに弾力が生まれます。

弾力を重視する料理には丼やお寿司、チャーハンなどがあります。これらのケースでは、粘りがあまりない方が良いことが多いです。「つや姫」という品種は、この「弾力はあるけど粘りは控えめ」という条件をうまく満たしています。

粒ぞろいについて

ブレンドされていない単一銘柄のお米は粒の大きさがある程度揃っていますが、低価格のブレンド米の場合、未熟な小さなお米や、割れのあるお米が入っていることがあります。しかし、そういった粒の大きさが不揃いのものと、粒ぞろいのものとでは、美味しさが明らかに異なります。

タレをかけるような丼では、ごはんの粒同士が分離しやすくなり、一粒ごとの粒の形状や食感がはっきりとします。このような料理の場合、粒ぞろいであることは非常に重要です。

その他の指標

その他にも、粒の大きさ、香り、ツヤ、冷めてからのおいしさ、保温適正等の指標があります。すべてを調べて判断するのは大変ですが、2つ、3つ程度の判断基準を設けてお米選びをしてみてはいかがでしょうか。

その他の指標については、次のページに詳しくまとめました。

詳説!誰でもわかる正しいお米の選び方【後編】